
ヒトにおけるクレアチン摂取と最大仕事量
Animal Health Trust
生理学部門
ロジャー ハリス、博士
クレアチンとは何か、どこに存在するか?
1. クレアチンは骨格筋、中枢神経、大食細胞、精子、網膜などの組織に存在し、高等動物一般に見られる。
2. クレアチンの分子の大きさはアミノ酸とほぼ等しくヒト筋肉の比較的分子量の少ない分子としては最も豊富に存在する。体内全クレアチンの95%は筋肉にある。通常のヒトの骨格筋には;
※ 少なくとも、1?のドライ質量(Dry Mass)当たり100mmol (生筋肉1?当たり3.0g)、
※ 多くても、1?のドライ質量当たり150mmol(生筋肉1?当たり4・6g)のクレアチンが存在する。
従って100?のヒトは120-184gのクレアチンを筋肉内に保有していることになる。(体内全クレアチン量の殆ど)
体内合成と食事からの供給
3. クレアチンは肝臓と腎臓においてアミノ酸の一種であるアルギニンを主成分にグリシン、メチオニンなどから体内合成が可能である。生産されたクレアチンは血液によってターゲットの筋肉細胞へ運ばれそこで濃縮され貯蔵される。
4. クレアチンが筋肉に存在することから肉食動物はクレアチンを通常の食物の一部として摂取している。 しかし、食事から取り入れられるクレア賃料はどの程度の肉を食べているか、肉が貯蔵されたものであるか、 熱を加えられて調理されたものであるかで違ってくる。(手を加えるほどクレアチン量は減少する傾向にある。)
5. 現代人の食生活では例外的に8gから10gに及ぶこともあるが一般的には一日に約0.5gに相当するクレアチンを摂取している。猟や狩りが主な生活手段であった時代のわれわれの先祖はクレアチンをより多く摂取していたであろう。
クレアチンは通常ヒトの食物とするものに結構含まれている
6. 現在、なぜヒトにより体内クレアチン量に相違が見られるかを科学的に説明することが出来ないが、 体内クレアチン合成能力、筋肉内への吸収率及び濃縮力、食物からの摂取量相違説等が有力である。
クレアチン補給による筋肉内クレアチン量への影響
7. クレアチンが栄養ドリンクとして摂取された場合、血液内クレアチン量の上昇がまず見られ2.3時間以内に組織の細胞内に吸収される。ドリンクを継続して飲んだ場合、筋肉内クレアチン量は明らかに増加することが判明している。
8. 研究結果によると、クレアチン補給がされる前に平均クレアチン量の最低限にあったヒトほどこの吸収率は良く、もともと クレアチン量が高かったヒトのクレアチン増加量は少なかった。従って、長期に渡るある一定量のクレアチン補給で全被研究者のクレアチン量は1?のドライ質量当たり150mmolに達しそれ以上の増加は見られなかった。
9. 体重100?、平均体内クレアチン量(1?のドライ質量当たり125mmol)を保有する通常のヒトに見られる全体的 クレアチン増加量は30-35gであるといえる。通常クレアチン量の低いヒトの増加率は良いが、クレアチン量をさらに増加させるためには吸収されたクレアチンの一部が尿となって排泄されることから一回分の補給料をさらにおおくしなくてはならないであろう。
10. しかし、筋肉内へ吸収できるある程度を越えた場合それ以上の補給は無益である。逆に余りにも低い補給量では、クレアチン補給の意味が得られない
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エネルギー貯蔵においてのクレアチンの役割 |
糸粒体ミトコンドリア |
○チトクローム クレアチンキナーゼ |
●糸粒体 クレアチンキナーゼ |
11. 体内においてクレアチンは絶えずクレアチニンという物質に分解されている。このクレアチニンは筋肉細胞内での機能を持たず細胞より流出され尿として廃出として排泄される。毎日体内全クレアチン量の1%がこのように処理される。
12. クレアチンの役割として最も顕著なのはクレアチンキナーゼという酵素のもとにクレアチンからクレアチンリン酸に変換することである。
Cr + ATP PCr + ADP
13. 休息時に60-90%のクレアチンはクレアチンリン酸として分布している。
14. 休息時にどの程度PCr (クレアチンリン酸)を保有しているかが筋肉収縮運動時にATPがどれだけ早く(殆ど同時に)再/合成貯蔵されるかに係わってくる。このATP再合成力が運動を継続できるかの大きな鍵を握る。また、筋肉収縮運動による細胞壁破壊を促すフリーラジカル(Free Radical)の流出を来たす原因となるADPの蓄積をどれだけ抑えられるかも休息時のPCr量に関係する。
15. PCrは細胞内系粒体で脂肪と炭水化物の酸化反応により他のATPより再合成されることが出来る。図にあるよ うにCRとPCrは糸粒体内で生産されたエネルギーを細胞内の違う場所で利用できるように運搬する働きを助ける。 (CR┥ PCRシャトル)
16. 休息時のPCr量が多いほど、その再合成は早く、よってより高い率で収縮繊維がATP量を保有することができる。(ADP量はより少なくなる。)しかし、激しい運動の経過と共にPCrによるATP再合成力にも限界が出始めるとADPの量が次第に増加し通常の細胞の活動を妨げ筋肉に衰えが見え始める。(Fatigue 疲労感)
17. クレアチン補給により仕事開始前のPCr量が高く(ATP再合成力が高い)、全クレアチン量が豊富(糸粒体からエネルギーが豊かに運搬/シャトルでき得る状態)であればスタミナも増加し回復力も高くなる。
18. クレアチン補給によるPCr量増加は激しい運動により産出される乳酸によるアシドーシスの発生を抑える作用もある。
19. PCr量の増加に伴うATPの尿酸への排泄が低下することでフリーラジカルの流出を防がれ激しい運動後の筋肉疲労が抑えられると言える。
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